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あの有李

「気の利いた風なことを言う人って、興味引かれてつきあってみると、大抵つまらない…」
と理恵さんが云う。
僕は鴉を想い出す。

「鴉と猫ってよく似ている。猫が空を飛べたらきっと鴉になるにちがいない。」

理恵さんは今日は黒いワンピースを着ていた。
この町の家々の真白な漆喰の壁によく似合う。
空が青い。

歩き続けるが、町には人気がない。
屋根から覗いているのは鴉なのか猫なのか。

僕たちにくっついて歩いている影がますます濃くなる。


引用:百合子さんは何色,村松友視,筑摩書房,1994.9.5.
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